いづれをか雨とも分かむ山伏の
落つる涙も降りにこそ降れ
- 歌の意味
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どれを雨と見分けられようか。山伏の落とす涙も、雨と同じようにしきりに降っているのだから。
- 鑑賞
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巻第十六 雑歌二 1133
詞書「戒仙が深き山寺に籠り侍りけるに、異法師まうで来て、雨に降りこめられて侍りけるに」
どれを雨と見分けられようか、山伏の落とす涙もしきりに降っている、と詠んだ歌である。深い山寺に降りこめる雨と、山に籠る身の涙とを区別できないと詠み、山居の心細さと、訪ねてきた人との語らいの中でこぼれる涙を重ねている。
詞書によれば、戒仙が深い山寺に籠っていた時、別の法師が訪ねてきて、雨に降りこめられていた折に詠んだ歌である。詠み手が戒仙か訪ねた法師かは明らかでない。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。
初句「いづれをか」は、どれを、の意で、「か」は疑問の係助詞で、二句の連体形「む」で結ぶ係り結びとなっている。
二句「雨とも分かむ」は、雨と見分けようか、の意で、反語の意をこめている。ここで句切れとなる。
三句「山伏の」は、山伏の、の意で、山に籠って修行する僧をいう。
四句「落つる涙も」は、落とす涙も、の意で、「も」は雨と並べて涙もまた、という気持ちを表す。
結句「降りにこそ降れ」は、しきりに降っている、の意で、同じ動詞を重ねて強めている。「こそ」は強意の係助詞で、已然形「降れ」で結ぶ係り結びとなっている。
やまぶし:山中に住んで修行する僧
ふりこむ:雨や雪が降り続いて外へ出られなくする
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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御輿岡いくその世々に年を経て 今日の行幸を待ちて見つらん
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思ひには消ゆるものぞと知りながら 今朝しもおきて何に来つらん