現には臥せど寝られず起きかへり
昨日の夢をいつか忘れん
- 歌の意味
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現実には横になっても寝つかれず、起き返ってばかりいる。昨日の夢のような逢瀬を、いつ忘れることがあろうか。
- 鑑賞
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巻第十三 恋歌五 925
詞書は前の歌に続き「怨みおこせて侍りける人の返事に」
現実には横になっても寝つかれず起き返るばかりで、昨日の夢のような逢瀬をいつ忘れようか、と詠んだ歌である。逢瀬の思い出に心が高ぶって眠れないほどだと伝え、恨む相手に忘れることなどないと答えている。
詞書によれば、前歌と同じく恨みを言ってよこした人への返事である。前歌が忘れるとは言っていないと答えたのに対し、本歌は昨日の逢瀬を忘れはしないと重ねて答えている。「夢」に寄せて逢瀬を詠む点では、本巻の第八百九十八首とも響き合っている。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。
初句「現には」は、現実には、の意で、結句の「夢」と対になっている。
二句「臥せど寝られず」は、横になっても寝つかれない、の意である。
三句「起きかへり」は、起き返って、の意で、眠れずに何度も起き上がるさまを表している。ここで句切れとなる。
四句「昨日の夢を」は、昨日の夢のような逢瀬を、の意で、初句の「現」と対照をなしている。
結句「いつか忘れん」は、いつ忘れることがあろうか、いやない、の意で、「ん」は推量の助動詞「む」で、反語を表している。
うつつ:現実、目覚めている状態
ふす:横になる、床につく
おきかへる:起き上がる、何度も起き直る
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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忘れむと言ひしことにもあらなくに 今は限りと思ふものかは
- 次の歌
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さざら波間なく立つめる浦をこそ 世に浅しとも見つつ忘れめ