あしひきの山下風も寒けきに
今宵も又や我が独り寝ん
- 歌の意味
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山の麓を吹く風も寒いのに、今夜もまた私は独りで寝るのだろうか。
- 鑑賞
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巻第十三 恋歌三 777
詞書「題しらず」
山の麓を吹く風も寒々しい夜に、今夜もまた独り寝をするのだろうかと嘆く歌である。冷たい山下風に身の寒さと心の寂しさを重ね、訪れのない恋人を待ちながら独りで夜を過ごすわびしさを詠んでいる。
恋歌三の巻頭の歌である。ここから第七百八十二首まで、初句を「あしひきの」とする歌が六首続く。巻末の第八百四十八首が、来ると頼ませながら来ない夜が重なったと詠むのに対し、巻頭は今夜もまた独り寝かと詠み、待つ夜の嘆きで巻の始めと終わりが呼応している。
初句「あしひきの」は、「山」にかかる枕詞である。次歌の第七百七十八首から第七百八十二首までの初句と同じ句で、一連の歌の始まりとなっている。
二句「山下風も」は、山の麓を吹き下ろす風も、の意である。「も」は、独り寝のわびしさに加えて、という気持ちを表す。
三句「寒けきに」は、寒いのに、の意で、身にしみる寒さが心の寂しさを際立たせている。
四句「今宵も又や」は、今夜もまた、の意で、「や」は疑問の係助詞である。昨夜に続いて今夜もという、待つ夜の重なりを表している。
結句「我が独り寝ん」は、私は独りで寝るのだろうか、の意で、係助詞「や」を受けて推量の助動詞「ん」の連体形で結んでいる。次歌の第七百七十八首の結句「ひとりかも寝む」と、独り寝を詠む結びを共有している。
やました:山の麓。山のふもとを吹く風を山下風という
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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秋は我が心の露にあらねども 物嘆かしき頃にもあるかな
- 次の歌
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あしひきの山鳥の尾のしだり尾の 長々し夜をひとりかも寝む