唐衣たつ日をよそに聞く人は
かへすばかりのほども恋しを
- 歌の意味
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私が旅立つ日を、他人事のように聞いているあなたは、私が帰るまでのわずかな間も恋しいなどと言うけれど、本当にそうだろうか。
- 鑑賞
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巻第十九 離別歌 1317
詞書「返し、女」
旅立つ日をよそごとに聞く人は、帰すほどの間も恋しいと言うけれど、と詠んだ歌である。前歌の唐衣の趣向を受け、自分の旅立ちを他人事のように聞いている相手が、すぐ帰ってほしいと言うのは本心だろうかと、軽く切り返している。
前歌の源公忠の歌に対する女の返しである。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。
初句「唐衣」は、美しい衣の意で、前歌の三句「唐衣」を受け、「たつ」を導いている。
二句「たつ日をよそに」の「たつ」は、衣を「裁つ」と旅に「発つ」を掛けた掛詞で、私の旅立つ日を他人事のように、の意である。「裁つ」は「唐衣」の縁語である。
三句「聞く人は」は、聞いている人は、の意で、前歌の作者を指している。
四句「かへすばかりの」の「かへす」は、衣を「返す」と「帰す」を掛けた掛詞で、前歌の四句「かへす」を受けている。
結句「ほども恋しを」は、その間も恋しいと言うけれど、の意で、「を」は逆接を含んだ詠嘆を表す。
たつ:衣を「裁つ」意と、旅に「発つ」意を掛ける
かへす:衣を「返す」意と、都へ「帰す」意を掛ける
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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いとせめて恋しきたびの唐衣 ほどなくかへす人もあらなん
- 次の歌
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恋しくは言伝もせむ帰るさの 雁がねはまづ我が宿に鳴け