あしひきの山鳥の尾のしだり尾の
長々し夜をひとりかも寝む
- 歌の意味
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山鳥の尾の垂れ下がった尾のように長い長い夜を、私は独りで寝るのだろうか。
- 鑑賞
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巻第十三 恋歌三 778
詞書は前の歌に続き「題しらず」
山鳥の長く垂れた尾のように長い秋の夜を、独りで寝るのだろうかと嘆く歌である。上の句の山鳥の尾が「長々し」を導く序詞となり、ゆったりとした調べで独り寝の夜の長さを印象づけている。山鳥は雌雄が夜は谷を隔てて別々に寝るとされ、独り寝の嘆きにふさわしい景物である。
作者の「人まろ」は柿本人麻呂である。飛鳥時代の宮廷歌人で、万葉集を代表する歌人として歌聖と仰がれ、三十六歌仙に数えられる。拾遺和歌集には、万葉集の歌が人麻呂の作として多く収められている。
万葉集巻十一に、或る本の歌として類歌が収められている。小倉百人一首に柿本人麻呂の歌として採られ、広く知られている。
初句「あしひきの」は、「山」にかかる枕詞である。前歌の第七百七十七首の初句と同じ句で、「あしひきの」で始まる一連の二首目である。
二句「山鳥の尾の」は、山鳥の尾の、の意である。ここから三句までが「長々し」を導く序詞となる。
三句「しだり尾の」は、長く垂れ下がった尾のように、の意で、「の」を重ねて調べを長く引き延ばしている。
四句「長々し夜を」は、長い長い夜を、の意で、序詞を受けて夜の長さを言う。
結句「ひとりかも寝む」は、独りで寝るのだろうか、の意で、係助詞「か」と「も」を受け、推量の助動詞「む」の連体形で結んでいる。前歌の第七百七十七首の結句「我が独り寝ん」と同じく独り寝を詠み、巻頭の二首が独り寝の嘆きで並んでいる。
やまどり:キジ科の鳥。雄の尾が長く、夜は雌雄が谷を隔てて寝るとされた
しだりを:長く垂れ下がった尾
- 作者
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柿本人麻呂
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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あしひきの山下風も寒けきに 今宵も又や我が独り寝ん
- 次の歌
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あしひきの葛城山にゐる事の 立ちても居ても君をこそ思へ