さざら波間なく立つめる浦をこそ
世に浅しとも見つつ忘れめ
- 歌の意味
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さざ波が絶え間なく立っているらしい浦であればこそ、本当に浅いものと見ながら、忘れてしまおう。
- 鑑賞
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巻第十三 恋歌五 926
詞書「女につかはしける」
さざ波が絶え間なく立つらしい浦をこそ、本当に浅いと見て忘れてしまおう、と詠んだ歌である。さざ波の絶えない浦に、絶えず浮いた噂の立つ女の心をなぞらえ、そのような浅い心ならば忘れてしまおうと突き放している。
詞書によれば、女に送った歌である。浦と浅さという水辺の景物に寄せて相手の心の浅さを言い、恨みを込めた歌となっている。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。
初句「さざら波」は、さざ波の、の意で、小さく細かく立つ波をいう。
二句「間なく立つめる」は、絶え間なく立っているらしい、の意で、「める」は推量の助動詞「めり」の連体形である。波が「立つ」に噂が立つ意を重ねている。
三句「浦をこそ」は、浦をこそ、の意で、「こそ」は強めの係助詞である。
四句「世に浅しとも」は、本当に浅いものとも、の意で、「世に」は、実に、まことに、の意である。
結句「見つつ忘れめ」は、見ながら忘れてしまおう、の意で、「め」は意志の助動詞「む」の已然形で、三句の「こそ」を受けて結ぶ係り結びとなっている。
さざらなみ:さざ波、細かく立つ波
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
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現には臥せど寝られず起きかへり 昨日の夢をいつか忘れん
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伊勢の海の千尋の浜に拾ふとも 今は何てふかひかあるべき