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住吉の現人神に誓ひても
忘るる君が心とぞ聞く

歌の意味
住吉の現人神に誓っても、それを忘れてしまうあなたの心だと聞いている。
鑑賞
巻第十四 恋歌四 869

詞書は前の歌に続き「題しらず」
 住吉の神に誓ったとしても、その誓いさえ忘れてしまうのがあなたの心だと聞いていると、相手の心変わりを恨む歌である。神への誓いさえあてにならない相手の不実を、うわさに聞くという形で責めている。
 住吉の現人神は、摂津国の住吉大社の神で、人の姿で現れる神とされた。前歌に続き、神にかかわる一連の歌で、次歌からは誓いの歌が続く。

 初句「住吉の」は、摂津国の住吉の、の意である。本巻の第八百八十八首の初句も「住吉の」で、住吉を詠む歌が呼応している。
 二句「現人神に」は、人の姿で現れる神に、の意で、住吉の神をいう。
 三句「誓ひても」は、誓ったとしても、の意で、「ても」は逆接の仮定を表す。次歌の第八百七十首の「誓ひてし」、第八百七十一首の「誓ひけん」と、誓いを詠む歌が続いていく。
 四句「忘るる君が」は、忘れてしまうあなたの、の意である。次歌の第八百七十首の初句「忘らるる」と、忘れる側と忘れられる側を詠む点で対をなしている。
 結句「心とぞ聞く」は、心だと聞いている、の意で、係助詞「ぞ」を受けて「聞く」と連体形で結んでいる。

あらひとがみ:現人神。人の姿でこの世に現れる神。ここでは住吉の神
作者
よみ人しらず
出典
拾遺和歌集
前の歌
我や憂き人やつらきとちはやぶる 神てふ神に問ひ見てしかな
次の歌
忘らるる身をば思はず誓ひてし 人の命の惜しくもあるかな