身のならむことをも知らず漕ぐ舟は
浪の心もつつまざりけり
- 歌の意味
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我が身がどうなってしまうかも分からずに漕ぎ出す舟は、荒れる浪の心さえもはばかりはしないのだった。
- 鑑賞
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巻第十三 恋歌五 959
詞書「御匣殿の別当につかはしける」
我が身がどうなるかも分からずに漕ぎ出す舟は、浪の心もはばからない、と詠んだ歌である。危険を顧みずに漕ぎ出す舟に自分をなぞらえ、周囲の思惑もかまわず恋に身を投じる覚悟を伝えている。
詞書によれば、御匣殿の別当に送った歌である。本巻の第九百六十一首も御匣殿の別当をめぐる歌で、同じ女性をめぐる恋の歌が近くに配されている。
作者の「きよかげの朝臣」は源清蔭である。陽成天皇の皇子で、臣籍に下って源の姓を賜り、大納言に至った。
初句「身のならむ」は、我が身がどうなるかという、の意で、「む」は推量の助動詞である。
二句「ことをも知らず」は、ことも分からずに、の意である。
三句「漕ぐ舟は」は、漕ぎ出す舟は、の意で、恋に身を投じる自分をたとえている。
四句「浪の心も」は、浪の心さえも、の意で、荒れる浪に世間や周囲の人々の思惑を重ねている。
結句「つつまざりけり」は、はばからないのだった、の意で、「つつむ」は遠慮する、はばかる意である。
みくしげどののべたう:宮中で衣服の調製などをつかさどる御匣殿の長官
つつむ:遠慮する、はばかる
- 作者
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源清蔭
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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淵とても頼みやはする天の川 年に一度渡るてふ瀬を
- 次の歌
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わびぬれば今はた同じ難波なる みをつくしても逢はむとぞ思ふ