わがためにかつはつらしとみ山木の
こりともこりぬかかる恋せじ
- 歌の意味
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私に対しては一方では薄情だと見て、深山の木を樵るように、懲りたとも懲りた、もうこんな恋はするまい。
- 鑑賞
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巻第十四 恋歌六 1042
詞書「女に物言はんとて来たりけれど、異人に物言ひければ、帰りて」
私に対して薄情だと見て、深山の木を樵るように、すっかり懲りた、もうこんな恋はするまい、と詠んだ歌である。訪ねていったのに女がほかの人と語らっていたので、恋にこりごりしたと、深山木を樵る「樵り」に「懲り」を掛けて嘆いている。
詞書によれば、女と語らおうとして訪ねたが、女がほかの人と話していたので、帰ってから詠んだ歌で、次歌の第千四十三首に女の返しが置かれている。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。
初句「わがために」は、私に対しては、の意である。
二句「かつはつらしと」は、一方では薄情だと、の意で、「かつは」は、一方では、の意である。
三句「み山木の」は、深山の木の、の意で、「み」に「見」と深山の「深」を掛けている。木を樵ることから四句の「こり」を導いている。
四句「こりともこりぬ」は、懲りたとも懲りた、の意で、「こり」に木を「樵り」と「懲り」を掛け、同じ語を重ねて強めている。
結句「かかる恋せじ」は、こんな恋はするまい、の意で、「じ」は打消しの意志の助動詞である。
みやまぎ:深山の木。「見」を掛ける
こる:木を樵る意と、懲りる意を掛ける
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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越えぬてふ名をな恨みそ鈴鹿山 いとど間近くならんと思ふを
- 次の歌
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あふこなき身とは知る知る恋すとて なげきこりつむ人はよきかは