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かきくらし雪も降らなん桜花
まだ咲かぬ間はよそへても見む

歌の意味
空を暗くして雪でも降ってほしい。桜の花がまだ咲かない間は、その雪を花になぞらえてでも見よう。
鑑賞
巻第十六 雑春歌 1034

詞書「題しらず」
 空を暗くして雪でも降ってほしい、桜がまだ咲かない間は、その雪を花になぞらえてでも見ようと詠む歌である。桜の開花を待ちきれない心を、雪を花に見立てて慰めようとする形で表している。ここから桜を詠む歌が続き、第千三十七首までは、まだ咲かない花を待つ心を詠む歌が並んでいる。

 初句「かきくらし」は、空を暗くして、の意で、雪の降り出す空の様子をいう。
 二句「雪も降らなん」は、雪でも降ってほしい、の意で、「なん」は他に対する願望を表す終助詞である。ここで句切れとなる二句切れの歌である。
 三句「桜花」は、桜の花が、の意である。
 四句「まだ咲かぬ間は」は、まだ咲かない間は、の意で、次歌の第千三十五首の二句「花のなき間に」と、「間」の語を共有している。
 結句「よそへても見む」は、なぞらえてでも見よう、の意で、「む」は意志の助動詞である。

かきくらす:掻き暗す。空を暗くする
よそふ:寄そふ。なぞらえる
作者
よみ人しらず
出典
拾遺和歌集
前の歌
春の野に掘る掘る見れどなかりけり 世にところせき人のためには
次の歌
春風は花のなき間に吹きはてね 咲きなば思ひなくて見るべく