あふこなき身とは知る知る恋すとて
なげきこりつむ人はよきかは
- 歌の意味
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荷を担う朸もなく、逢う時もない身だと知りながら恋をして、嘆きという投げ木を樵り積む人は、よいものだろうか。
- 鑑賞
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巻第十四 恋歌六 1043
詞書「返し」
逢う機会のない身と知りながら恋をして、嘆きの木を樵り積む人はよいものだろうか、と詠んだ歌である。前歌の「み山木」「こり」を受け、担う朸もないのに木を樵り積むように、望みのない恋に嘆きを重ねるあなたこそ愚かではないかと切り返している。
詞書によれば、前歌の第千四十二首への女の返しである。「あふこ」は本巻の第千十八首の「あふはかり」と同じく、荷を担う棒の朸に逢うことを掛けたもので、木を担う朸と樵るという縁語でまとめられている。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。
初句「あふこなき」は、逢う時のない、の意で、「あふこ」に荷を担う棒の「朸」と、逢う時の意を掛けている。本巻の第千十八首の初句「あふはかり」と同じ趣向である。
二句「身とは知る知る」は、身だとは知りながら、の意で、本巻の第千三十首の四句にも「知る知る」が用いられている。
三句「恋すとて」は、恋をするといって、の意である。
四句「なげきこりつむ」は、嘆きを樵り積む、の意で、「なげき」に「嘆き」と薪の「投げ木」を掛けている。前歌の「こり」を受け、木を樵り積むさまに嘆きを重ねるさまをたとえている。
結句「人はよきかは」は、人はよいものだろうか、の意で、「かは」は反語を表す。
あふこ:荷を担う棒の朸の意と、逢う時の意を掛ける
なげき:「嘆き」と、薪にする木の「投げ木」を掛ける
こりつむ:木を樵って積み重ねる
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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わがためにかつはつらしとみ山木の こりともこりぬかかる恋せじ
- 次の歌
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朝ごとに露は置けども人恋ふる わが言の葉は色も変はらず