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花盛り過ぐしし人はつらけれど
言の葉をさへ隠しやはせん

歌の意味
花盛りに来ないで過ごしてしまった人は恨めしいけれども、花ばかりか言葉までも隠してしまうことがあろうか。
鑑賞
巻第十四 恋歌六 1048

詞書「男のもとより、花盛りに来むと言ひて、来ざりければ」
 花盛りに来ずに過ごした人は恨めしいけれども、言葉までも隠してしまうことがあろうか、と詠んだ歌である。花の盛りに来ると言いながら来なかった男を恨みつつも、便りの言葉までは断たずに送ると詠んでいる。
 詞書によれば、男のもとから花盛りに来ようと言ってきたのに、来なかったので詠んだ歌である。「言の葉」の「葉」が「花」と縁語となり、花と葉に寄せて恨みと思いを詠み分けている。本巻の第千四十四首も「言の葉」を詠んでいる。
 作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。

 初句「花盛り」は、花の盛りを、の意で、詞書の男が来ると約束した時を指している。
 二句「過ぐしし人は」は、むなしく過ごさせた人は、の意である。
 三句「つらけれど」は、恨めしいけれども、の意である。
 四句「言の葉をさへ」は、言葉までも、の意で、「言の葉」の「葉」が初句の「花」の縁語となっている。「さへ」は添加を表す。本巻の第千四十四首の四句にも「言の葉」が詠まれている。
 結句「隠しやはせん」は、隠したりするだろうか、いやしない、の意で、「やは」は反語の係助詞で、連体形「ん」で結ぶ係り結びとなっている。

ことのは:言葉。木の葉を重ねる
作者
よみ人しらず
出典
後撰和歌集
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渡りてはあだになるてふ染河の 心づくしになりもこそすれ
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