住みわびぬ今は限りと山里に
爪木こるべき宿求めてむ
- 歌の意味
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この世に住むのがつらくなった。今はもうこれまでだと思い、山里に、薪にする小枝を切って暮らすような住まいを探し求めよう。
- 鑑賞
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巻第十五 雑歌一 1083
詞書「世の中を思ひ憂じて侍りけるころ」
この世に住むのがつらくなった、もうこれまでだと思って、山里に薪を切って暮らす住まいを求めよう、と詠んだ歌である。世の中を憂く思い、都を離れて山里に隠れ住もうとする心を詠んでいる。
詞書によれば、世の中をつらく思っていたころに詠んだ歌である。伊勢物語第五十九段には、東山に住もうとした男の歌として、四句を「身を隠すべき」とする形で見える。
作者の在原業平は、阿保親王の子で、在原行平の異母弟にあたる。六歌仙、三十六歌仙の一人で、伊勢物語の主人公に擬せられる。小倉百人一首には「ちはやぶる神代も聞かず竜田川」の歌が採られている。
初句「住みわびぬ」は、住むのがつらくなった、の意で、「わぶ」はつらく思う意、「ぬ」は完了の助動詞である。ここで句切れとなる。
二句「今は限りと」は、今はもうこれまでだと、の意で、世の中を見限る思いを示している。
三句「山里に」は、山里に、の意で、都を離れて隠れ住む場所をいう。
四句「爪木こるべき」は、薪を切るはずの、の意で、「爪木」は薪にする小枝、「こる」は木を切る意である。山里でのつつましい暮らしを思い描いている。
結句「宿求めてむ」は、住まいを探し求めよう、の意で、「てむ」は強い意志を表す。
すみわぶ:住むのがつらくなる
つまぎ:薪にする小枝
こる:木を切る
おもひうず:つらく思う。嫌になる
- 作者
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在原業平
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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限りなき思ひの綱のなくはこそ まさきのかづら縒りも悩まめ
- 次の歌
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あしひきの山に生ひたる白樫の 知らじな人を朽木なりとも