いにしへも契りてけりなうちはぶき
飛び立ちぬべし天の羽衣
- 歌の意味
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昔から約束していたことなのだなあ。羽ばたいて、今にも飛び立ってしまいそうだ、この天の羽衣で。
- 鑑賞
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巻第十五 雑歌一 1112
詞書「返し」
昔から約束していたことなのだ、天の羽衣で羽ばたいて今にも飛び立ちそうだ、と詠んだ歌である。贈られた袍を天の羽衣になぞらえ、昇進の喜びと、贈り主との古くからの交わりへの感謝を表している。
前歌の藤原師輔の歌に対する庶明の返しである。
作者の「庶明朝臣」は源庶明である。宇多天皇の皇子斉世親王の子で、中納言に至った。
初句「いにしへも」は、昔にも、の意で、師輔との古くからの縁を思わせている。
二句「契りてけりな」は、約束していたのだなあ、の意で、「てけり」は完了と過去、「な」は詠嘆を表す。ここで句切れとなる。
三句「うちはぶき」は、羽ばたいて、の意で、鳥が羽を打ち振るさまをいう。
四句「飛び立ちぬべし」は、今にも飛び立ってしまいそうだ、の意で、「ぬべし」は強い推量を表す。昇進の喜びに心が浮き立つさまをいう。ここで句切れとなる。
結句「天の羽衣」は、天人の着る羽衣で、贈られた袍をたとえている。体言止めで結んでいる。
うちはぶく:鳥が羽ばたく
あまのはごろも:天人が着て空を飛ぶという衣
- 作者
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源庶明
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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思ひきや君が衣を脱ぎかへて 濃き紫の色を着むとは
- 次の歌
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古里の奈良の都の始めより なれにけりとも見ゆる衣か