武蔵野は袖ひつばかり分けしかど
若紫は尋ねわびにき
- 歌の意味
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武蔵野は、袖が濡れるほどに草を分けて探したけれども、若紫は探しあぐねてしまった。
- 鑑賞
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巻第十六 雑歌二 1177
詞書「題しらず」
武蔵野は袖が濡れるほど分け入って探したが、若紫は見つけられなかった、と詠んだ歌である。紫草の名所である武蔵野で若い紫草を探し求める姿に、ゆかりの若い女性を尋ね求めながら会えなかった嘆きを重ねている。
古今和歌集の「紫のひともとゆゑに武蔵野の草はみながらあはれとぞ見る」以来、武蔵野の紫は、ゆかりある人を思わせる題材として詠まれた。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。
初句「武蔵野は」は、武蔵国の武蔵野は、の意で、紫草の名所である。
二句「袖ひつばかり」は、袖が濡れるほど、の意で、「ひつ」は濡れる意である。露や涙に濡れることを重ねている。
三句「分けしかど」は、草を分けて探したけれども、の意で、「しか」は過去の助動詞「き」の已然形、「ど」は逆接を表す。
四句「若紫は」は、若い紫草は、の意で、若い女性をたとえている。
結句「尋ねわびにき」は、探しあぐねてしまった、の意で、「わぶ」は思うようにならず困る意である。
ひつ:濡れる。浸る
わかむらさき:若い紫草。若い女性をたとえる
たづねわぶ:探しあぐねる
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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世の中は憂きものなれや人言の とにもかくにも聞こえ苦しき
- 次の歌
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大荒木の森の草とやなりにけむ かりにだに来て問ふ人のなき