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貫きとめぬ髪の筋もてあやしくも
経にける年の数を知るかな

歌の意味
玉を貫いて留めるわけでもない髪の筋によって、不思議にも、過ぎてきた年の数を知ることだ。
鑑賞
巻第十七 雑歌三 1209

詞書「頭白かりける女を見て」
 玉を貫き留めるわけでもない髪の筋で、不思議にも過ぎた年の数を知ることだ、と詠んだ歌である。白髪を、数を数える玉の緒に見立て、白くなった髪の筋に積もった年月を読み取っている。
 詞書によれば、髪の白くなった女を見て詠んだ歌である。
 作者の伊勢は、伊勢守藤原継蔭の娘で、宇多天皇の女御藤原温子に仕えた。宇多天皇の寵を受け、のちに敦慶親王との間に中務を生んだ。三十六歌仙の一人で、小倉百人一首には「難波潟短き葦のふしの間も」の歌が採られている。

 初句「貫きとめぬ」は、玉を緒に貫いて留めることもしない、の意で、数珠のように玉を貫く緒を思わせる。
 二句「髪の筋もて」は、髪の筋によって、の意で、「筋」は緒の縁語である。本巻の第千二百十九首、第千二百四十首も、黒髪の変わりように過ぎた年月を詠んでいる。
 三句「あやしくも」は、不思議にも、の意である。
 四句「経にける年の」は、過ぎてきた年の、の意である。
 結句「数を知るかな」は、数を知ることだ、の意で、「数」は玉の縁語であり、「かな」は詠嘆を表す。

ぬきとむ:玉などを緒に通して留める
ふ:年月が過ぎる
作者
伊勢
出典
後撰和歌集
前の歌
面影をあひ見し数になす時は 心のみこそしづめられけれ
次の歌
なみかずにあらぬ身なれば住吉の 岸にも寄らずなりやはてなん