面影をあひ見し数になす時は
心のみこそしづめられけれ
- 歌の意味
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面影を、実際に逢った数のうちに入れて数えるときは、心だけは静めることができるのだった。
- 鑑賞
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巻第十七 雑歌三 1208
詞書「題しらず」
面影を逢った数のうちに数えるときは、心だけは静められるのだった、と詠んだ歌である。逢えない人の面影を逢瀬の一つに数えることで、わずかに慰めを得る恋の心を詠んでいる。
作者の伊勢は、伊勢守藤原継蔭の娘で、宇多天皇の女御藤原温子に仕えた。宇多天皇の寵を受け、のちに敦慶親王との間に中務を生んだ。三十六歌仙の一人で、小倉百人一首には「難波潟短き葦のふしの間も」の歌が採られている。
初句「面影を」は、心に浮かぶ姿を、の意である。
二句「あひ見し数に」は、実際に逢った回数のうちに、の意である。
三句「なす時は」は、入れて数えるときは、の意である。
四句「心のみこそ」は、心だけは、の意で、「こそ」は強意の係助詞である。本巻の第千二百十三首の結句「心なりけり」と同じく、身と分けて心を詠んでいる。
結句「しづめられけれ」は、静めることができるのだった、の意で、四句の「こそ」を受けて已然形「けれ」で結ぶ係り結びとなっている。「られ」は可能を表す。
おもかげ:心に浮かぶ人の姿
あひみる:男女が逢う
- 作者
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伊勢
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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言ふ事のたがはぬものにあらませば 後憂き事と聞こえざらまし
- 次の歌
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貫きとめぬ髪の筋もてあやしくも 経にける年の数を知るかな