世の中と言ひつるものかかげろふの
あるかなきかのほどにぞありける
- 歌の意味
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世の中と呼んできたものは、こういうものだったのか。かげろうのように、あるのかないのかわからないほどの、はかないものであったのだ。
- 鑑賞
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巻第十八 雑歌四 1264
詞書「題しらず」
世の中と言ってきたものは、かげろうのようにあるかなきかのものであった、と詠んだ歌である。前歌の白露に続き、かげろうを用いて、世の中のはかなさを改めて思い知った心を詠んでいる。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。
初句「世の中と」は、世の中と、の意である。
二句「言ひつるものか」は、言ってきたものは、こういうものか、の意で、「か」は詠嘆を含む疑問を表す。ここで句切れとなる。
三句「かげろふの」は、はかないもののたとえで、四句の「あるかなきか」を導いている。
四句「あるかなきかの」は、あるのかないのかわからない、の意である。
結句「ほどにぞありける」は、それほどのものであった、の意で、「ぞ」を受けて連体形「ける」で結ぶ係り結びとなっている。本巻の第千二百八十八首も同じく「にぞありける」で結んでいる。
かげろふ:はかない虫の名、または陽炎、はかないもののたとえ
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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人心たとへて見れば白露の 消ゆる間もなほ久しかりけり
- 次の歌
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かくばかり別れのやすき世の中に 常と頼める我ぞはかなき