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かくばかり別れのやすき世の中に
常と頼める我ぞはかなき

歌の意味
これほど別れのたやすい世の中なのに、いつまでも変わらないものと頼みにしていた私こそ、はかないことだ。
鑑賞
巻第十八 雑歌四 1265

詞書「友だちに侍りける女の、年久しく頼みて侍りける男に問はれず侍りければ、もろともに嘆きて」
 これほど別れやすい世の中に、変わらぬものと頼んでいた私こそはかない、と詠んだ歌である。長年頼りにした男に訪ねてもらえなくなった友の身を、我がことのように嘆いている。
 詞書によれば、友人である女が、長年頼りにしていた男に訪ねてもらえなくなったので、一緒に嘆いて詠んだ歌である。前の二首に続き、世の中のはかなさを詠んでいる。
 作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。

 初句「かくばかり」は、これほどまでに、の意である。
 二句「別れのやすき」は、別れのたやすい、の意である。
 三句「世の中に」は、世の中であるのに、の意である。前歌の初句「世の中と」と同じ語である。
 四句「常と頼める」は、いつまでも変わらないものと頼みにしていた、の意である。
 結句「我ぞはかなき」は、私こそはかない、の意で、「ぞ」を受けて連体形「はかなき」で結ぶ係り結びとなっている。

たのむ:頼みにする、あてにする
作者
よみ人しらず
出典
後撰和歌集
前の歌
世の中と言ひつるものかかげろふの あるかなきかのほどにぞありける
次の歌
塵に立つ我が名清めん百敷の 人の心を枕ともがな