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塵に立つ我が名清めん百敷の
人の心を枕ともがな

歌の意味
塵のように立つ私の浮き名を清めたいものだ。宮中の人々の心を、真実を知る枕にでもできたらよいのに。
鑑賞
巻第十八 雑歌四 1266

詞書「常に無き名立ち侍りければ」
 塵のように立つ我が名を清めたい、宮中の人の心を枕にできたらよいのに、と詠んだ歌である。寝所の真実を知る枕を証人と見なし、宮中の人々の心が枕のように真実を知ってくれればと、根拠のない浮き名を晴らしたい思いを詠んでいる。
 詞書によれば、いつも根も葉もない噂が立ったので詠んだ歌である。
 作者の伊勢は、伊勢守藤原継蔭の娘で、宇多天皇の女御藤原温子に仕えた。宇多天皇の寵を受け、のちに敦慶親王との間に中務を生んだ。三十六歌仙の一人で、小倉百人一首には「難波潟短き葦のふしの間も」の歌が採られている。

 初句「塵に立つ」は、塵のように立つ、の意で、二句の「名」が軽々しく立つさまをいう。
 二句「我が名清めん」は、私の名を清めたい、の意で、「ん」は意志を表す。ここで句切れとなる。「塵」と「清む」は縁語である。
 三句「百敷の」は、宮中の、の意である。本巻の第千二百九十一首の三句も「百敷を」と宮中を詠んでいる。
 四句「人の心を」は、宮中の人々の心を、の意である。
 結句「枕ともがな」は、枕であってほしい、の意で、「もがな」は願望を表す。枕は寝所の真実を知るものとされた。本巻の第千二百六十九首も結句「枕にもがな」で、心を枕にしたいと願っている。

ももしき:宮中
なきな:根拠のない噂、浮き名
作者
伊勢
出典
後撰和歌集
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かくばかり別れのやすき世の中に 常と頼める我ぞはかなき
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