露だにもなからましかば秋の夜に
誰とおきゐて人を待たまし
- 歌の意味
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せめて露さえもなかったならば、秋の夜に、誰と一緒に起きていて、あの人を待つことができようか。
- 鑑賞
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巻第十二 恋歌二 774
詞書「題しらず」
せめて露さえもなかったら、秋の夜に誰と一緒に起きていてあの人を待てばよいのだろうと詠む歌である。「おき」に露が「置き」と人が「起き」を掛け、夜通し草葉に置く露を、来ない人を待って起きている自分の唯一の連れと見て、待つ夜の寂しさを表している。第七百十五首が暁がなかったならと詠んだのと同じ「なからましかば」の句を用いている。ここから巻末まで、秋の景物に寄せた歌が並ぶ。
初句「露だにも」は、せめて露さえも、の意で、「だに」は、せめて〜だけでも、の意を表す。
二句「なからましかば」は、もしなかったならば、の意で、「ましか」は反実仮想の助動詞「まし」の未然形、「ば」は仮定を表す。本巻の第七百十五首の二句「なからましかば」と同じ句である。
三句「秋の夜に」は、秋の夜に、の意である。
四句「誰とおきゐて」は、「おき」が露が「置き」と、人が「起き」を掛ける掛詞で、誰と一緒に起きていて、の意である。
結句「人を待たまし」は、人を待てばよいのだろうか、の意で、「まし」は二句の「ましかば」と呼応する反実仮想の助動詞である。
おく:露が「置く」意と、人が「起く」意を掛ける
おきゐる:起き居る。起きている
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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わびぬれば常はゆゆしき七夕も うらやまれぬるものにぞありける
- 次の歌
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今更に訪ふべき人も思ほえず 八重むぐらして門させりてへ