夕闇は道も見えねど故郷は
もと来し駒にまかせてぞ来る
- 歌の意味
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夕闇で道も見えないけれど、昔なじみの里へは、以前通ってきた馬に任せてやって来たことだ。
- 鑑賞
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巻第十三 恋歌五 978
詞書「思ひ忘れにける人のもとにまかりて」
夕闇で道も見えないけれど、昔なじみの里へは、以前通ってきた馬に任せて来た、と詠んだ歌である。久しく忘れていた女のもとへ、昔通い慣れた馬が道を覚えていて連れて来てくれたと、照れ隠しのように訪問の理由を語っている。
詞書によれば、忘れていた人のもとへ行って詠んだ歌である。次歌の第九百七十九首は女の返しで、「駒にまかせて」の語を受けて答えている。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。
初句「夕闇は」は、夕闇の中では、の意で、月の出る前の暗さをいう。
二句「道も見えねど」は、道も見えないけれど、の意で、「ど」は逆接の接続助詞である。
三句「故郷は」は、昔なじみの里へは、の意で、かつて通った女の家を指している。
四句「もと来し駒に」は、以前通って来た馬に、の意である。
結句「まかせてぞ来る」は、任せてやって来る、の意で、「ぞ」は強めの係助詞で、連体形「来る」で結ぶ係り結びとなっている。
ゆふやみ:月の出る前の夕方の暗さ
ふるさと:昔なじみの所、以前通っていた所
こま:馬
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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数ならぬ身はうき草となりななん つれなき人に寄るべ知られじ
- 次の歌
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駒にこそまかせたりけれあやなくも 心の来ると思ひけるかな