駒にこそまかせたりけれあやなくも
心の来ると思ひけるかな
- 歌の意味
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馬に任せて来たのだったのか。わけもなく、あなたの心が来てくれたのだと思っていたことだ。
- 鑑賞
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巻第十三 恋歌五 979
詞書「返し」
馬に任せて来たのだったのか、わけもなく心が来てくれたのだと思っていた、と詠んだ歌である。前歌の照れ隠しの言葉を逆手に取り、思い出して来てくれたと喜んだのに馬任せだったのかと、すねてみせている。
前歌の第九百七十八首への返歌である。前歌の「駒にまかせて」を初句二句で受け、来たのは馬で心ではなかったのかと、言葉の端をとらえて切り返している。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。
初句「駒にこそ」は、馬にこそ、の意で、前歌の四句の「駒」を受けている。「こそ」は強めの係助詞である。
二句「まかせたりけれ」は、任せたのだった、の意で、初句の「こそ」を受けて已然形「けれ」で結ぶ係り結びとなっている。前歌の「まかせて」を受けている。ここで句切れとなる。
三句「あやなくも」は、わけもなく、筋違いにも、の意である。
四句「心の来ると」は、あなたの心が来たと、の意で、二句の馬と対比している。
結句「思ひけるかな」は、思っていたことだ、の意で、思い違いに気づいた詠嘆を表している。
あやなし:筋が通らない、わけがわからない
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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夕闇は道も見えねど故郷は もと来し駒にまかせてぞ来る
- 次の歌
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いづ方にことづてやりて雁がねの 逢ふことまれに今はなるらん