時しもあれ秋しも人の別るれば
いとど袂ぞ露けかりける
- 歌の意味
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ほかにも時はあろうに、よりによって秋に人が別れて行くので、いっそう袂が露と涙に濡れることだ。
- 鑑賞
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巻第六 別歌 308
詞書は前の歌に続き「題しらず」
ほかにも時があるだろうに、よりによってもの悲しい秋に人と別れるので、いっそう袂が露と涙で濡れると詠む歌である。秋の露の湿りに別れの涙を重ね、季節の哀れと別れの悲しみとが重なる様を表している。
初句「時しもあれ」は、ほかに時もあろうに、の意で、「しも」は強めの助詞である。
二句「秋しも人の」は、よりによって秋に人が、の意で、初句と同じ「しも」を重ねて強めている。前々歌の第三百六首の秋風に続き、秋の別れが詠まれる。
三句「別るれば」は、別れて行くので、の意で、已然形に「ば」がついて理由を表す。
四句「いとど袂ぞ」は、いっそう袂が、の意で、係助詞「ぞ」による強調である。
結句「露けかりける」は、露っぽく濡れていることだ、の意で、係助詞「ぞ」を受けて連体形「ける」で結ぶ。本巻の第三百四十四首も同じ「露けかりける」で結び、旅の草枕の露を詠んでいる。
たもと:袖の下の垂れた部分。袖
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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別れてふ事は誰かは始めけん 苦しきものと知らずやありけん
- 次の歌
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君が世をながつきとだに思はずは いかに別れの悲しからまし