君が世をながつきとだに思はずは
いかに別れの悲しからまし
- 歌の意味
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あなたの行く末を、せめて長月という名のように長いものと思わなかったならば、この別れはどれほど悲しいことであっただろう。
- 鑑賞
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巻第六 別歌 309
詞書「天暦の御時、九月十五日、斎宮下り侍りけるに」
九月すなわち長月の別れにちなみ、あなたの行く末をせめて名のとおり長いと思わなかったなら、この別れはどれほど悲しかっただろうと詠む歌である。月の名に望みを託すことで、伊勢へ下る斎宮との別れの悲しみをかろうじて慰めている。詞書によれば、村上天皇の天暦の御代の九月十五日、斎宮が伊勢へ下った時の歌である。
作者の「御製」は村上天皇である。醍醐天皇の皇子で、その治世は天暦の治と称えられた。梨壺に和歌所を置き、後撰和歌集の撰進を命じた。
初句「君が世を」は、あなたの世を、あなたの行く末を、の意である。
二句「ながつきとだに」は、陰暦九月の「長月」と、長い意の「長」とを掛け、せめて長いものとだけでも、の意となる。前々歌の第三百八首の秋に続き、秋の別れが詠まれる。
三句「思はずは」は、思わなかったならば、の意で、仮定を表す。
四句「いかに別れの」は、どれほど別れが、の意である。
結句「悲しからまし」は、悲しかっただろう、の意で、「まし」は事実に反することを仮定する助動詞である。三句の仮定を受け、実際には長月の名に慰められていることを表している。
ながつき:陰暦九月の長月と、長いの意とを掛ける
さいぐう:伊勢神宮に奉仕した未婚の皇女または女王。斎宮
- 作者
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村上天皇
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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時しもあれ秋しも人の別るれば いとど袂ぞ露けかりける
- 次の歌
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露にだに当てじと思ひし人しもぞ 時雨降るころ旅に行きける