我をのみ思ひつるがの浦ならば
かへるの山は惑はざらまし
- 歌の意味
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私だけを思ってくれる敦賀の浦にいるのならば、帰山で迷うこともなく、まっすぐ帰って来るだろうに。
- 鑑賞
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巻第十九 離別歌 1335
詞書「あひ知りて侍りける人の、あからさまに越の国へまかりけるに、幣心ざすとて」
私だけを思う敦賀の浦なら、帰山で迷うこともないだろうに、と詠んだ歌である。越の国へしばらく下る人に幣を贈り、越前の地名の「敦賀」に「思ひつる」、「帰山」に「帰る」を掛けて、私を思ってくれるなら迷わず帰って来てほしいと願っている。
詞書によれば、親しくしていた人が、ちょっとの間越の国へ下る時に、幣を贈るにあたって詠んだ歌である。次歌はその返しで、二首は贈答の一組となっている。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。
初句「我をのみ」は、私だけを、の意である。
二句「思ひつるがの」の「つるが」は、「思ひつる」と越前の地名の「敦賀」を掛けた掛詞である。
三句「浦ならば」は、浦であるならば、の意で、「ば」は仮定を表す。
四句「かへるの山は」の「かへる」は、越前の「帰山」と「帰る」を掛けた掛詞である。
結句「惑はざらまし」は、迷わないだろうに、の意で、三句の「ならば」と呼応して反実仮想を表す。
つるが:「思ひつる」の意と、越前の地名の「敦賀」を掛ける
かへるのやま:越前の山の「帰山」の意と、「帰る」を掛ける
ぬさ:神に手向ける供え物
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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忘るなと言ふに流るる涙川 憂き名をすすぐ瀬ともならなん
- 次の歌
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君をのみいつはたと思ひこしなれば 往き来の道ははるけからじを