波間より見ゆる小舟の浜久木
久しくなりぬ君に逢はずて
- 歌の意味
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波の間から見える小舟のあたりの浜久木の、その名のように、久しくなってしまった。あなたに逢わないままで。
- 鑑賞
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巻第十四 恋歌四 856
詞書は前の歌に続き「題しらず」
波間から見える浜辺の浜久木の名のように、あなたに逢わないまま久しい時が過ぎてしまったと嘆く歌である。上の句の海辺の景色が、同音を重ねて下の句の「久しく」を導いている。
万葉集巻十一に、二句を「見ゆる小島の」とする類歌が収められている。
なお本文の二句は「見ゆるこ舟の」とあり、読み仮名の行の「みゆるこしまの」と一致しない。ここでは本文の表記に従う。読み仮名の行によれば、波間に見える小島の浜久木の意となる。
初句「波間より」は、波の間から、の意である。
二句「見ゆる小舟の」は、見える小舟の、の意で、波間に見え隠れする舟の景を描いている。
三句「浜久木」は、浜辺に生える久木のことで、初句からここまでが、同音の「久しく」を導く序詞となっている。
四句「久しくなりぬ」は、長い時が経ってしまった、の意で、「ぬ」は完了の助動詞である。ここで句切れとなる。
結句「君に逢はずて」は、あなたに逢わないままで、の意で、四句と倒置になっている。
はまひさぎ:浜久木。浜辺に生える久木。久木はアカメガシワやキササゲの類とされる
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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我が宿は播磨潟にもあらなくに あかしもはてて人の行くらん
- 次の歌
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真澄鏡手に取り持ちて朝な朝な 見れども君に飽く時ぞなき