君をのみいつはたと思ひこしなれば
往き来の道ははるけからじを
- 歌の意味
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あなただけを、いつかまた逢おうと思って越の国へ行くのだから、行き来の道は遠くはないだろうに。
- 鑑賞
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巻第十九 離別歌 1336
詞書「返し」
あなただけをいつかまたと思って越へ来たのだから、往き来の道は遠くないだろう、と詠んだ歌である。前歌の越前の地名を詠み込む趣向を受け、同じく越前の「五幡」に「いつはた」、「越」に「来し」を掛けて、あなたを思っているのだから行き来の道は遠くないと答えている。
前歌に対する返しである。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。
初句「君をのみ」は、あなただけを、の意で、前歌の初句「我をのみ」に応じている。
二句「いつはたと思ひ」の「いつはた」は、越前の地名の「五幡」と、いつかまた、の意の「いつはた」を掛けた掛詞で、字余りとなっている。
三句「こしなれば」の「こし」は、国名の「越」と「来し」を掛けた掛詞で、やって来た越なので、の意である。
四句「往き来の道は」は、行き来する道は、の意で、前歌の「かへる」に応じている。
結句「はるけからじを」は、遠くはないだろうに、の意で、「じ」は打消の推量、「を」は詠嘆を表す。
いつはた:越前の地名の「五幡」の意と、「いつかまた」の意を掛ける
こし:国名の「越」の意と、「来し」を掛ける
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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我をのみ思ひつるがの浦ならば かへるの山は惑はざらまし
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秋深く旅行く人の手向けには 紅葉にまさる幣なかりけり