勅なればいともかしこし鶯の
宿はと問はばいかが答へむ
- 歌の意味
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天皇のご命令なので、まことに畏れ多く、梅は献上いたします。けれども、鶯が自分の宿はどこかと尋ねたならば、どう答えたらよいのだろうか。
- 鑑賞
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巻第九 雑歌下 531
詞書「内より人の家に侍りける紅梅を掘らせ給ひけるに、鶯の巣くひて侍りければ、家主の女まづかく奏せさせ侍りける」
天皇の命令なので梅は畏れ多くも献上するが、鶯が自分の宿はどこかと尋ねたらどう答えればよいのかと詠む歌である。詞書から、宮中の命である家の紅梅を掘らせたところ、鶯が巣を作っていたので、家の主の女がまずこの歌を奏上させたとわかる。詞書の後に「かく奏せさせければ、掘らずなりにけり」とあり、この歌によって梅を掘ることが取りやめになったことが記されている。命令に従う姿勢を示しながら、鶯の身になって梅を惜しむ心を伝えた歌である。
この話は大鏡に「鶯宿梅」の故事として伝わり、そこでは村上天皇の時のこととされ、家の主は紀貫之の娘とされている。
初句「勅なれば」は、天皇のご命令なので、の意で、「ば」は已然形について原因を表す。
二句「いともかしこし」は、まことに畏れ多い、の意で、ここで句切れとなる二句切れの歌である。命令をつつしんで受ける姿勢を示している。
三句「鶯の」は、鶯が、の意で、詞書の紅梅に巣を作った鶯を指す。
四句「宿はと問はば」は、自分の宿はどこかと尋ねたならば、の意で、「ば」は未然形について仮定を表す。
結句「いかが答へむ」は、どう答えたらよいだろうか、の意で、「む」は推量の助動詞である。本巻の第五百十二首の四句「いかが定めむ」と同じく、答えに窮する形で帝の言葉に応じている。
ちよく:勅。天皇の命令
そうす:奏す。天皇に申し上げる
いへあるじ:家主。家の主人
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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拾遺和歌集
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わたつ海はあまの舟こそありと聞け のりたがへても漕ぎ出でたるかな
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いな折らじ露に袂の濡れたらば 物思ひけりと人もこそ見れ