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人心たとへて見れば白露の
消ゆる間もなほ久しかりけり

歌の意味
人の心を何かにたとえて見ると、はかないものの代表である白露の消えるまでの間でさえ、まだ長く思われることだ。
鑑賞
巻第十八 雑歌四 1263

詞書「題しらず」
 人の心をたとえてみると、白露の消える間でさえなお久しい、と詠んだ歌である。はかなさの代表である白露と比べても、人の心の移ろいはそれより速いと、人心の頼みがたさを嘆いている。
 本巻ではこの歌から、人の心や世の中のはかなさを詠む歌が続いている。
 作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。

 初句「人心」は、人の心は、の意である。本巻の第千二百八十二首も同じ初句で、人の心の冷たさを詠んでいる。
 二句「たとへて見れば」は、何かにたとえてみると、の意である。
 三句「白露の」は、はかなく消えやすいもののたとえである。本巻の第千二百九十四首も、露をはかない身のたとえとしている。
 四句「消ゆる間もなほ」は、消えるまでの間でさえ、やはり、の意である。
 結句「久しかりけり」は、長いことであった、の意で、「けり」は気づきを表す。

ひとごころ:人の心、人の情け
作者
よみ人しらず
出典
後撰和歌集
前の歌
あしのうらのいときたなくも見ゆるかな 波は寄りても洗はざりけり
次の歌
世の中と言ひつるものかかげろふの あるかなきかのほどにぞありける