年を経てあひ見る人の別れには
惜しきものこそ命なりけれ
- 歌の意味
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長い年月を経て親しく会ってきた人との別れには、何よりも惜しいものは、再会を待つための命であったのだ。
- 鑑賞
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巻第十九 離別歌 1332
詞書「筑紫へまかるとて、きよいこの命婦に送りける」
長年会ってきた人との別れには、惜しいものこそ命であった、と詠んだ歌である。筑紫へ下るにあたり、長く親しんだ人との別れを前に、再び会うまで生きながらえたいと、命の惜しさを改めて思い知った心を詠んでいる。
詞書によれば、筑紫へ下る時に、きよいこの命婦に送った歌である。
作者の小野好古は、原文に「小野好古朝臣」とあり、小野篁の孫で、藤原純友の乱では追捕使として活躍し、大宰大弐を経て参議に至った。書家の小野道風の兄にあたる。
初句「年を経て」は、長い年月を経て、の意である。
二句「あひ見る人の」は、親しく会ってきた人の、の意である。
三句「別れには」は、別れに際しては、の意である。
四句「惜しきものこそ」は、惜しいものは、の意で、「こそ」は強意の係助詞である。
結句「命なりけれ」は、命であったのだ、の意で、四句の「こそ」を受けて已然形「けれ」で結ぶ係り結びとなっている。「けり」は気づきを表す。
みゃうぶ:宮中に仕える中級の女官、命婦
つくし:九州の古称
- 作者
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小野好古
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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君をのみしのぶの里へ行くものを あひづの山のはるけきやなぞ
- 次の歌
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行く先を知らぬ涙の悲しきは ただ目の前に落つるなりけり