- 歌の意味
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水が引いて流れ落ちる白糸を張って織る、この滝という機の布は、旅の衣に裁って重ね着しようか。
- 鑑賞
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巻第十九 離別歌 1356
詞書「法皇宮の滝といふ所御覧じける御供にて」
水の白糸を張って織る機の布は、旅の衣に裁って重ねようか、と詠んだ歌である。宮の滝の流れ落ちる白い水を、機に張った白糸と見立て、その布を裁って旅衣に重ねようと、滝の美しさを興じている。
詞書によれば、宇多法皇が宮の滝という所を御覧になった時、その御供として詠んだ歌である。昌泰元年の宇多法皇の吉野宮滝への御幸の折の歌とされる。本巻の第千三百六十七首の素性法師の歌も、同じ宮の滝で法皇の仰せによって詠まれた歌である。
作者の「菅原右大臣」は菅原道真である。菅原是善の子で、宇多天皇に重用されて右大臣に至ったが、のちに大宰権帥に左遷された。小倉百人一首には「このたびは幣も取りあへず手向山」の歌が採られている。
初句「水引の」は、水が引いて流れる、の意で、流れ落ちる滝の水をいう。
二句「白糸延へて」は、白糸を張って、の意で、滝の白い流れを機に張る縦糸に見立てている。
三句「織る機は」は、織る機の布は、の意である。
四句「旅の衣に」は、旅の衣として、の意である。
結句「裁ちや重ねん」は、裁って重ねようか、の意で、「や」は疑問の係助詞で、連体形「ん」で結ぶ係り結びとなっている。「糸」「織る」「機」「裁つ」「衣」は縁語である。
みやのたき:大和の国の吉野川の宮滝、吉野離宮のあった地
はふ:糸を長く張り渡す
はた:布を織る機
- 作者
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菅原道真
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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都にて山の端に見し月なれど 海より出でて海にこそ入れ
- 次の歌
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ひぐらしの山路を暗みさ夜ふけて 木の末ごとに紅葉照らせる