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ひぐらしの山路を暗みさ夜ふけて
木の末ごとに紅葉照らせる

歌の意味
日暮らしの山の山道が暗いので、夜も更けたのに、木々の梢ごとに紅葉が明るく照らしていることだ。
鑑賞
巻第十九 離別歌 1357

詞書「道まかりけるついでに、ひぐらしの山をまかり侍りて」
 ひぐらしの山路が暗いので、夜が更けて、梢ごとに紅葉が照らしている、と詠んだ歌である。日の暮れた山道を夜更けに越えながら、梢ごとの紅葉が明かりのように道を照らしていると、紅葉の鮮やかさを詠んでいる。
 詞書によれば、旅の途中に、ひぐらしの山を越えた時に詠んだ歌である。
 作者の「菅原右大臣」は菅原道真である。菅原是善の子で、宇多天皇に重用されて右大臣に至ったが、のちに大宰権帥に左遷された。小倉百人一首には「このたびは幣も取りあへず手向山」の歌が採られている。

 初句「ひぐらしの」は、ひぐらしの山の名に、日が暮れる意の「日暮らし」を掛けた掛詞で、二句の「暗み」を導いている。
 二句「山路を暗み」は、山道が暗いので、の意で、「を〜み」は原因、理由を表す。
 三句「さ夜ふけて」は、夜が更けて、の意で、「さ」は接頭語である。
 四句「木の末ごとに」は、木々の梢ごとに、の意である。
 結句「紅葉照らせる」は、紅葉が照らしている、の意で、紅葉の赤さを明かりに見立てている。二句の「暗み」と対をなしている。

ひぐらし:山の名に、日が暮れる意の「日暮らし」を掛ける
こずゑ:木の枝の先、梢
作者
菅原道真
出典
後撰和歌集
前の歌
水引の白糸延へて織る機は 旅の衣に裁ちや重ねん
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草枕旅となりなば山の辺に 白雲ならぬ我や宿らむ