長月の九日ごとに摘む菊の
花もかひなく老いにけるかな
- 歌の意味
-
毎年九月九日ごとに長寿を願って摘む菊の花も、そのかいもなく、私は老いてしまったことだ。
- 鑑賞
-
巻第三 秋歌 185
詞書「題しらず」
毎年重陽の日に長寿を願って菊の花を摘んできたのに、その効もなく老いてしまったと嘆く歌である。菊の長寿の力をたのみながらも、避けられない老いを自嘲するように詠んでいる。
作者の「みつね」は凡河内躬恒である。古今和歌集の撰者の一人で、紀貫之と並び称された。三十六歌仙に数えられる。
初句「長月の」は、陰暦九月の、の意である。
二句「九日ごとに」は、毎年の九月九日ごとに、の意で、重陽の節句をいう。前歌の「今日ごとに」と同じく、年ごとの重陽を詠む。
三句「摘む菊の」は、長寿を願って摘む菊の、の意である。
四句「花もかひなく」は、花の効き目もなく、の意である。
結句「老いにけるかな」は、老いてしまったことよ、の意で、「にける」は完了の「ぬ」と詠嘆の「けり」が重なった形である。前歌が菊の露による幾世の長寿を祝ったのに対し、本歌は菊のかいなく老いた身を嘆き、祝いと嘆きとが対をなしている。
ながつき:陰暦九月。長月
- 作者
-
凡河内躬恒
- 出典
-
拾遺和歌集
- 前の歌
-
我が宿の菊の白露今日ごとに 幾世積もりて淵となるらん
- 次の歌
-
千鳥鳴く佐保の川霧立ちぬらし 山の木の葉も色変はりゆく