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千鳥鳴く佐保の川霧立ちぬらし
山の木の葉も色変はりゆく

歌の意味
千鳥が鳴く佐保川に川霧が立ったらしい。山の木の葉も色が変わっていく。
鑑賞
巻第三 秋歌 186

詞書「右大将定国家屏風に」
 千鳥の鳴く佐保川に川霧が立ちこめたらしく、それにつれて山の木の葉も色づいていくと詠む歌である。川霧が木の葉を染めるという発想によって、秋の深まりを川と山の景で描いている。詞書によれば、右大将藤原定国の家の屏風に添えた歌である。
 作者の「たたみね」は壬生忠岑である。古今和歌集の撰者の一人で、三十六歌仙に数えられる。壬生忠見の父である。

 初句「千鳥鳴く」は、千鳥が鳴く、の意で、「佐保」にかかる。佐保川は千鳥の名所とされた。
 二句「佐保の川霧」は、大和国の佐保川に立つ霧をいう。本巻の第百九十三首にも「佐保の川霧」の語が見え、紅葉を見に来た人の前で霧が紅葉を隠す場面が詠まれる。
 三句「立ちぬらし」は、立ったらしい、の意で、「らし」は根拠に基づく推定の助動詞である。ここで句切れとなる。
 四句「山の木の葉も」は、山の木の葉も、の意である。本歌から、紅葉を詠む歌が多く続く。
 結句「色変はりゆく」は、色が変わっていく、の意で、三句の推定の根拠を示している。本巻の第百三十八首で、時雨の前にもう色が変わっているかと思われた木の葉が、ここで実際に色づいている。

さほがは:大和国の佐保川。千鳥の名所とされた歌枕
かはぎり:川に立つ霧。川霧
作者
壬生忠岑
出典
拾遺和歌集
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長月の九日ごとに摘む菊の 花もかひなく老いにけるかな
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