いろいろの木の葉流るる大井川
下はかつらの紅葉とや見ん
- 歌の意味
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色とりどりの木の葉が流れる大井川よ。その下流の桂では、流れてきた紅葉をその地の桂の紅葉と見るのだろうか。
- 鑑賞
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巻第三 秋歌 212
詞書「大井に紅葉の流るるを見侍りて」
さまざまな色の木の葉が流れていく大井川を見て、下流の桂の里の人々は、流れ着いた紅葉をその地の桂の木の紅葉と見るだろうかと思いやる歌である。「かつら」に地名の桂と木の名の桂とを掛け、川の上流と下流とをつなぐ機知を見せている。詞書によれば、大井川に紅葉が流れるのを見て詠んだ歌である。
作者の「壬生忠岑」は、古今和歌集の撰者の一人で、三十六歌仙に数えられる。壬生忠見の父である。
初句「いろいろの」は、さまざまな色の、の意である。
二句「木の葉流るる」は、木の葉が流れる、の意で、本巻の第百九十四首以下の、水に流れる紅葉の歌を受ける。
三句「大井川」は、山城国の嵐山のふもとを流れる川をいう。本巻の第百九十五首、第百九十七首、第二百首でも大井川の紅葉が詠まれる。ここで句切れとなる。
四句「下はかつらの」は、「かつら」に大井川の下流にあたる桂の地名と、木の名の桂を掛けた掛詞である。「下」は下流をいう。
結句「紅葉とや見ん」は、紅葉と見るだろうか、の意で、「や」は疑問の係助詞であり、推量の助動詞「ん」の連体形で結ぶ。上流と下流という川の上下の対比によって、流れる紅葉の行方を思い描いている。
かつら:大井川下流の地名の桂と、木の名の桂を掛ける
おほゐがは:山城国の嵐山のふもとを流れる川。大井川
- 作者
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壬生忠岑
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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秋霧の峰にも尾にもたつ山は 紅葉の錦たまらざりけり
- 次の歌
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招くとて立ちも止まらぬ秋ゆゑに あはれかたよる花すすきかな