招くとて立ちも止まらぬ秋ゆゑに
あはれかたよる花すすきかな
- 歌の意味
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招いたからといって立ち止まってもくれない秋のために、ああ、一方にばかりなびき寄っている花すすきであることよ。
- 鑑賞
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巻第三 秋歌 213
詞書「題しらず」
いくら手招きしても立ち止まらずに去っていく秋のために、花すすきが一方にばかりなびき寄っているさまを、あわれ深いものとして詠む歌である。去りゆく秋を引き留めようとする花すすきの姿に、秋を惜しむ心を託している。
作者の「よしたた」は曾禰好忠である。丹後掾を務めたことから曾丹とも呼ばれ、清新な歌風で知られる平安時代中期の歌人である。中古三十六歌仙に数えられる。
初句「招くとて」は、招くといっても、の意である。本巻の第百五十六首、第百九十二首の「招くなるらん」を受け、花すすきの手招きが再び詠まれる。
二句「立ちも止まらぬ」は、立ち止まりもしない、の意である。
三句「秋ゆゑに」は、秋のために、の意で、去りゆく秋を人に見立てている。
四句「あはれかたよる」は、ああ、一方になびき寄る、の意である。「あはれ」は感動詞で、去る秋を追うようにすすきが一方へ傾くさまをいう。
結句「花すすきかな」は、花すすきであることよ、の意で、「かな」は詠嘆の終助詞である。第百九十二首では風の去る方を招いていた花すすきが、本歌では去る秋を招いており、巻末に向けて秋の終わりを告げている。
かたよる:一方に寄る。片寄る
はなすすき:穂の出たすすき。花薄
- 作者
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曾禰好忠
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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いろいろの木の葉流るる大井川 下はかつらの紅葉とや見ん
- 次の歌
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暮れてゆく秋の形見に置くものは 我が元結の霜にぞありける