暮れてゆく秋の形見に置くものは
我が元結の霜にぞありける
- 歌の意味
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暮れていく秋が形見として残していくものは、私の元結に置く霜、すなわち白髪であったのだ。
- 鑑賞
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巻第三 秋歌 214
詞書「暮れの秋、重之が消息して侍りける返事に」
去っていく秋が形見として残していくものは、自分の髪の元結に置いた霜、つまり白髪であったと詠む歌である。秋の終わりと自らの老いとを重ね、過ぎゆく季節と年月への感慨を表している。詞書によれば、晩秋に源重之から手紙が届いたのに対する返事として詠んだ歌である。重之は兼盛と親交のあった歌人である。
作者の「平兼盛」は、光孝天皇の流れをくむ平氏の出で、平安時代中期の歌人である。天徳四年の内裏歌合での活躍で知られ、三十六歌仙に数えられる。
初句「暮れてゆく」は、終わろうとしている、の意で、秋の暮れをいう。
二句「秋の形見に」は、秋の形見として、の意である。前歌の、立ち止まらずに去る秋を受け、去った後に残るものを詠む。
三句「置くものは」は、残していくものは、の意で、「置く」は霜が置く意と縁語をなす。
四句「我が元結の」は、私の元結の、の意で、髪を束ねる所をさす。
結句「霜にぞありける」は、霜であったのだ、の意で、白髪を霜に見立てている。「ぞ」の係り結びにより連体形の「ける」で結ぶ。巻頭の第百三十七首が夏衣に吹く秋の初風で秋を迎えたのに対し、巻末の本歌は元結の霜で秋を送り、秋の始まりと終わりが身にまとうものによって呼応している。
もとゆひ:髪を頭上で束ねる紐。元結
かたみ:思い出のよすがとなるもの。形見
せうそこ:手紙。便り。消息
- 作者
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平兼盛
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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招くとて立ちも止まらぬ秋ゆゑに あはれかたよる花すすきかな
- 次の歌
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あしひきの山かき曇り時雨るれど 紅葉はいとど照りまさりけり