綱代木にかけつつ洗ふ唐錦
日を経て寄する紅葉なりけり
- 歌の意味
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網代木に引っかけては川水で洗っている唐錦は、日を重ねて流れ寄ってくる紅葉であったのだ。
- 鑑賞
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巻第四 冬歌 216
詞書「寛和二年清涼殿の御障子に、網代かける所」
川に仕掛けた網代の杭に引っかかり、川水に洗われている紅葉を、洗い張りされる唐錦に見立てた歌である。日ごとに流れ寄って杭にたまる紅葉を、美しい舶来の錦ととらえ、冬の川の景に華やかさを添えている。詞書によれば、寛和二年(986)に清涼殿の御障子に描かれた、網代を仕掛けた場面に添えた歌である。
なお本文の初句は「綱代木」とあり、読み仮名の行の「あしろきに」と一致しない。「網代木」の誤写と見られ、ここでは本文の表記を残し、読みは読み仮名の行に従って「あじろぎ」とする。
初句「綱代木に」は、網代木に、の意である。網代木は、冬に川で氷魚をとるために竹や木を編んで仕掛ける網代を支える杭で、宇治川のものが名高い。
二句「かけつつ洗ふ」は、引っかけては繰り返し洗う、の意で、「つつ」は反復を表す。
三句「唐錦」は、舶来の美しい錦で、ここでは紅葉の見立てである。本巻の第二百二十首、第二百二十一首にも唐錦が詠まれ、紅葉を錦と見る趣向が続く。
四句「日を経て寄する」は、日を重ねて流れ寄せる、の意である。
結句「紅葉なりけり」は、紅葉であったのだ、の意で、「けり」は気づきの詠嘆を表す。見立ての種を最後に明かして結んでいる。
あじろぎ:網代を支えるために川に打ち込んだ杭
あじろ:竹や木を編んで川の瀬に仕掛け、魚をとる仕掛け
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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あしひきの山かき曇り時雨るれど 紅葉はいとど照りまさりけり
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