かきくらし時雨るる空を眺めつつ
思ひこそやれ神なびの森
- 歌の意味
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一面に暗くなって時雨の降る空を眺めながら、神なびの森はどうしているかと思いやることだ。
- 鑑賞
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巻第四 冬歌 217
詞書「時雨し侍りける日」
空を一面に暗くして時雨が降る日、その空を眺めながら、遠く神なびの森に思いをはせる歌である。時雨が木々を染めるものとされたことを踏まえ、紅葉の名所として知られる森の今のありさまを思いやっている。詞書によれば、時雨の降った日に詠んだ歌である。
作者の「つらゆき」は紀貫之である。古今和歌集の撰者の中心人物で、仮名序を執筆し、土佐日記を著した。三十六歌仙に数えられる。
初句「かきくらし」は、空を一面に暗くして、の意である。本巻の第二百十五首の二句「山かき曇り」と同じく、時雨を呼ぶ暗い空を描いている。
二句「時雨るる空を」は、時雨の降る空を、の意である。
三句「眺めつつ」は、もの思いに沈みながら見やり続けて、の意で、「つつ」は継続を表す。
四句「思ひこそやれ」は、遠くに思いをはせることだ、の意で、係助詞「こそ」を受けて已然形「やれ」で結ぶ係り結びである。ここで句切れとなり、倒置によって思いやる先を結句に示す。本巻の第二百三十首も同じく「思ひこそやれ」と詠み、身近な寒さから遠くのものを思いやる趣向を共有している。
結句「神なびの森」は、神の鎮座する森をいい、竜田のあたりのものが紅葉の名所として知られる。体言止めである。本巻の第二百十九首の「神なびの三室の山」と響き合っている。
かむなび:神の降臨し鎮座する所。神なびの森は竜田の辺りとされる紅葉の名所
ながむ:もの思いにふけりながら見やる
- 作者
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紀貫之
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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綱代木にかけつつ洗ふ唐錦 日を経て寄する紅葉なりけり
- 次の歌
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神無月時雨しぬらし葛の葉の うらこがる音に鹿も鳴くなり