杣人は宮木ひくらしあしひきの
山の山彦声とよむなり
- 歌の意味
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杣人は宮殿を造る木材を引いているらしい。山の山彦が声を響かせているのが聞こえる。
- 鑑賞
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巻第七 物名 371
詞書「ひぐらし」
山の山彦が声を響かせているのを聞き、杣人が宮殿を造る木材を引いているらしいと推し量る歌である。山に響く掛け声とこだまの景の中に、二句の「宮木ひくらし」の音の続きに、詞書の「ひぐらし」の名を隠している。詞書の「ひぐらし」は、この歌に詠み込まれた物の名である。
作者の「つらゆき」は紀貫之である。古今和歌集の撰者の中心人物で、仮名序を執筆し、土佐日記を著した。三十六歌仙に数えられる。
初句「杣人は」は、山で木を切り出す人は、の意である。
二句「宮木ひくらし」は、宮殿を造る木材を引いているらしい、の意で、「らし」は根拠のある推定を表す。「ひくらし」に「ひぐらし」の名を隠している。ここで句切れとなる。前歌の「思ひくらし」に続き、ひぐらしの歌である。
三句「あしひきの」は、山にかかる枕詞である。
四句「山の山彦」は、山のこだまの意で、「山」を重ねて響きを強めている。
結句「声とよむなり」は、声が鳴り響いているようだ、の意で、「なり」は音を聞いて判断する推定の助動詞である。二句の「らし」の根拠をここで示している。
ひぐらし:蜩。「宮木引くらし」の音の続きに隠して詠み込む
そまびと:山で木を切り出す人。杣人
みやぎ:宮殿などを造るための木材。宮木
とよむ:鳴り響く
- 作者
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紀貫之
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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今来むと言ひて別れし朝より 思ひくらしの音をのみぞ泣く
- 次の歌
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松の音は秋の調べに聞こゆなり 高くせめあげて鳥ぞひくらし