音にのみ聞き渡りつる住吉の
松の千歳を今日見つるかな
- 歌の意味
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噂にばかり長年聞き続けてきた住吉の松の千年の齢を、今日この目で見たことだ。
- 鑑賞
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巻第八 雑歌上 456
詞書「住吉に国の司の臨時の祭し侍りける、舞人にて、土器取りて詠み侍りける」
噂にばかり聞いてきた住吉の松の千年の齢を、今日初めて目にしたと詠む歌である。詞書から、国司が住吉神社で臨時の祭を催した折、舞人として奉仕し、杯を手にして詠んだ歌とわかる。名高い住吉の松を目の当たりにした感動を、神を祝う祭の席にふさわしく、松の長寿を言祝ぐ形で表している。前歌の第四百五十五首の年を経た松を受け、千年の齢を保つ松を詠んでいる。
作者の「つらゆき」は紀貫之である。古今和歌集の撰者の中心人物で、仮名序を執筆し、土佐日記を著した。三十六歌仙に数えられる。
初句「音にのみ」は、噂にばかり、の意である。本巻の第四百九十首も同じく「音にのみ聞く」と詠み、結句を「今日見つるかな」で結んでおり、二首は同じ構成をとっている。
二句「聞き渡りつる」は、長年聞き続けてきた、の意で、「つる」は完了の助動詞「つ」の連体形である。
三句「住吉の」は、摂津国の住吉の、の意で、住吉の松は名高い歌枕である。本巻の第四百六十二首にも住吉が詠まれている。
四句「松の千歳を」は、松の千年の齢を、の意で、松の長寿を言祝いでいる。
結句「今日見つるかな」は、今日この目で見たことよ、の意で、「かな」は詠嘆の終助詞である。初句の「音にのみ」と対応し、聞くことから見ることへの転換を表している。
かはらけ:素焼きの杯
ききわたる:長い間聞き続ける
まひびと:祭や儀式で舞を奉納する人
- 作者
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紀貫之
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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大井河川辺の松に事問はむ かかる行幸やありし昔も
- 次の歌
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海にのみひちたる松の深緑 いくしほとかは知るべかるらん