加古の島松原越しに鳴く鶴の
あな長々し聞く人なしに
- 歌の意味
-
加古の島の松原越しに鳴いている鶴の声の、ああ長々しいことよ。聞く人もいないのに。
- 鑑賞
-
巻第八 雑歌上 459
詞書「題しらず」
加古の島の松原越しに鳴く鶴の声が、聞く人もいないのに長々と続いていると詠む歌である。人のいない海辺で長く鳴き続ける鶴の声に、誰にも聞いてもらえない寂しさを感じ取っている。前の歌群の松を受けて松原を詠み、本巻の第四百六十五首、第四百九十七首、第四百九十八首にも鶴の歌が見える。
初句「加古の島」は、播磨国の加古川の河口付近にあった島とされる地名である。
二句「松原越しに」は、松原の向こうで、の意で、前の歌群から続く松を詠んでいる。
三句「鳴く鶴の」は、鳴いている鶴の、の意である。
四句「あな長々し」は、ああ長々しいことよ、の意で、「あな」は感動詞である。ここで句切れとなる。
結句「聞く人なしに」は、聞く人もいないのに、の意で、倒置的に鳴き声の長さを嘆く理由を添えている。
たづ:鶴
かこのしま:播磨国の加古川の河口付近にあったとされる島
- 作者
-
よみ人しらず
- 出典
-
拾遺和歌集
- 前の歌
-
わたつみの波にも濡れぬ浮島の 松に心を寄せて頼まん
- 次の歌
-
いかで猶我が身にかへて武隈の 松ともならむ行く人のため