玉江漕ぐ菰刈舟のさしはへて
波間もあらば寄らむとぞ思ふ
- 歌の意味
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玉江を漕ぐ菰刈舟が棹をさして進むように、わざわざ心をこめて、波の絶え間があれば、あなたのもとに寄ろうと思う。
- 鑑賞
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巻第十一 恋歌一 666
詞書は前の歌に続き「題しらず」
玉江を漕ぐ菰刈舟が棹をさして進むように、わざわざ心を寄せて、波の絶え間があればあなたのもとに寄ろうと思うと詠む歌である。上の句を序詞とし、「さしはへて」に舟の棹を「さし」て進む意と、ことさらに、の意を重ね、人目の絶え間をうかがって相手に近づこうとする思いを表している。第六百三十八首、第六百三十九首と同じく、水辺の舟を序に用いている。
初句「玉江漕ぐ」は、玉江を漕いで行く、の意で、玉江は歌枕とされる入り江である。
二句「菰刈舟の」は、菰を刈る舟の、の意で、ここまでが三句の「さしはへて」を導く序詞である。
三句「さしはへて」は、「さし」が舟の棹を「さし」て進む意と、わざわざ、ことさらに、の意の「さしはへて」を掛ける掛詞である。
四句「波間もあらば」は、波の絶え間があるならば、の意で、人目の隙を暗示している。
結句「寄らむとぞ思ふ」は、寄ろうと思う、の意で、舟が岸に寄ることと、人のもとに寄ることを重ねている。係助詞「ぞ」を受けて連体形の「思ふ」で結ぶ係り結びである。
こもかりぶね:菰刈舟。水辺の菰を刈る舟
さしはふ:舟に棹を「さし」て進む意と、わざわざ、ことさらにする意を掛ける
なみま:波間。波の絶え間
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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我こそや見ぬ人恋ふる病すれ あふひならでは止む薬なし
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みるめ刈る海人とはなしに君恋ふる 我が衣手の乾く時なき