身に恋のあまりにしかば忍ぶれど
人の知るらん事ぞわびしき
- 歌の意味
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我が身に恋の思いがあふれてしまったので、隠そうとしても、人が知っているだろうことがつらい。
- 鑑賞
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巻第十二 恋歌二 738
詞書「題しらず」
身に恋があふれてしまったので、いくら忍んでも人に知られているだろうことがつらいと詠む歌である。抑えきれないほどの恋は、隠そうとしても外に表れてしまうという嘆きを表している。ここから第七百四十三首まで、忍ぶ恋とそれが人に知られることを詠む歌が続く。
初句「身に恋の」は、我が身に恋の思いが、の意である。
二句「あまりにしかば」は、あふれてしまったので、の意で、「に」は完了、「しか」は過去の助動詞「き」の已然形、「ば」は原因を表す。
三句「忍ぶれど」は、隠そうとしても、の意で、「ど」は逆接を表す。次歌の第七百三十九首の初句「忍びつつ」と、忍ぶ恋を詠む点で共通している。
四句「人の知るらん」は、人が知っているだろう、の意で、「らん」は現在推量の助動詞である。
結句「事ぞわびしき」は、ことがつらい、の意で、係助詞「ぞ」を受けて連体形の「わびしき」で結ぶ係り結びである。
しのぶ:忍ぶ。人に知られないように隠す
あまる:余る。あふれる
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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玉鉾の遠道もこそ人は行け など時の間も見ねば恋しき
- 次の歌
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忍びつつ思へば苦し住の江の 松の根ながら現れなばや