玉鉾の遠道もこそ人は行け
など時の間も見ねば恋しき
- 歌の意味
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遠い道でも人は行くものなのに、どうしてほんのわずかの間でも逢わないと恋しいのだろうか。
- 鑑賞
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巻第十二 恋歌二 737
詞書「源公忠朝臣、日々にまかりあひ侍りけるを、いかなる日にかありけむ、あひ侍らざりける日、つかはしける」
遠い道のりであっても人は行くものなのに、どうしてわずかの間でも逢わないと恋しいのだろうかと詠む歌である。詞書から、毎日のように会っていた源公忠に、たまたま会わなかった日に贈った歌とわかる。友への親愛の情を恋歌の言葉で表し、恋の巻に収められている。源公忠は光孝天皇の孫にあたる歌人で、三十六歌仙に数えられる。
作者の「つらゆき」は紀貫之である。古今和歌集の撰者の中心人物で、仮名序を執筆し、土佐日記を著した。三十六歌仙に数えられる。
なお本文の結句は「見ねば」とあり、読み仮名の行の「みぬは」と一致しない。ここでは本文の表記に従う。
初句「玉鉾の」は、「道」にかかる枕詞である。
二句「遠道もこそ」は、遠い道でも、の意で、係助詞「こそ」は三句の已然形「行け」で結ぶ係り結びである。
三句「人は行け」は、人は行くものなのに、の意で、「こそ」を受けた已然形が逆接の意を含んで下に続いている。
四句「など時の間も」は、どうしてわずかの間も、の意で、「など」は疑問を表す。
結句「見ねば恋しき」は、逢わないと恋しいのか、の意で、「ね」は打消の助動詞「ず」の已然形、「ば」は条件を表す。「など」を受けて連体形の「恋しき」で結んでいる。読み仮名の行は「みぬは」とする。
たまぼこの:玉鉾の。「道」「里」にかかる枕詞
ときのま:時の間。わずかの間
- 作者
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紀貫之
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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明け暮れの空にぞ我は迷ひぬる 思ふ心のゆかぬまにまに
- 次の歌
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身に恋のあまりにしかば忍ぶれど 人の知るらん事ぞわびしき