忍びつつ思へば苦し住の江の
松の根ながら現れなばや
- 歌の意味
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人目を忍びながら思っていると苦しい。住の江の松の根が波に洗われて現れるように、いっそこの恋が人に知られてしまえばよいのに。
- 鑑賞
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巻第十二 恋歌二 739
詞書は前の歌に続き「題しらず」
人目を忍んで思い続けるのは苦しい、住の江の松の根が波に洗われて現れるように、いっそ恋が人に知られてしまえばよいと詠む歌である。忍ぶ恋の苦しさに耐えかね、隠すよりも知られるほうがましだと思い詰めた心を表している。前歌の第七百三十八首が人に知られることを嘆いたのに対し、この歌は知られることを願っており、対照をなしている。
初句「忍びつつ」は、人目を忍びながら、の意で、「つつ」は継続を表す。前歌の第七百三十八首の三句「忍ぶれど」と、忍ぶ恋を詠む点で共通している。
二句「思へば苦し」は、思っていると苦しい、の意で、ここで句切れとなる二句切れの歌である。
三句「住の江の」は、摂津国の歌枕の住の江の、の意で、松の名所である。次の第七百四十首と第七百四十一首の「住吉の松」へと続いていく。
四句「松の根ながら」は、松の根のように、の意で、波に洗われて現れる松の根をいう。本巻の第七百四十三首の二句「松のうきねと」と、松の根を詠む点で共通している。
結句「現れなばや」は、現れてしまえばよいのに、の意で、「な」は完了の助動詞「ぬ」の未然形、「ばや」は願望を表す終助詞である。本巻の第七百四十三首の結句「現れにけり」と呼応している。
すみのえ:住の江。摂津国の歌枕。松の名所
あらはる:現る。表に出る、人に知られる
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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身に恋のあまりにしかば忍ぶれど 人の知るらん事ぞわびしき
- 次の歌
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住吉の松ならねども久しくも 君と寝ぬ夜のなりにけるかな