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夕占問ふ占にもよくあり今宵だに
来ざらむ君をいつか待つべき

歌の意味
夕占を問うと、占いにもよく出ている。今夜でさえ来ないようなあなたを、いったいいつ待てばよいのだろうか。
鑑賞
巻第十三 恋歌三 807

詞書は前の歌に続き「題しらず」
 夕占を問えば吉と出ているのに、今夜さえ来ないのなら、あなたをいつ待てばよいのかと詠む歌である。占いが良く出た今夜こそと期待をかけ、それでも来ないならもう待つ時はないと訴えている。
 作者の「ひとまろ」は柿本人麻呂である。飛鳥時代の宮廷歌人で、万葉集を代表する歌人として歌聖と仰がれ、三十六歌仙に数えられる。拾遺和歌集には、万葉集の歌が人麻呂の作として多く収められている。

 初句「夕占問ふ」は、夕占を問うと、の意である。前歌の第八百六首の三句と同じ句で、夕占を詠む二首目である。
 二句「占にもよくあり」は、占いにも良く出ている、の意で、字余りの句である。前歌の「占正にせよ」の願いを受け、占いが良く出たことを詠んでいる。
 三句「今宵だに」は、今夜でさえ、の意で、「だに」は軽いものを挙げて重いものを類推させる副助詞である。
 四句「来ざらむ君を」は、来ないようなあなたを、の意である。
 結句「いつか待つべき」は、いつ待てばよいのか、の意で、「か」は疑問を表す係助詞、「べき」は「か」を受けた連体形の結びである。

ゆふけ:夕占。夕方に辻に立ち、行き交う人の言葉で吉凶を占うこと
うら:占。占い
作者
柿本人麻呂
出典
拾遺和歌集
前の歌
正してふ八十のちまたに夕占問ふ 占正にせよ妹に逢ふべく
次の歌
夢をだにいかでかたみに見てしかな 逢はで寝る夜の慰めにせん