ちりひぢの数にもあらぬ我ゆゑに
思ひわぶらん妹がかなしさ
- 歌の意味
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塵や泥ほどの数にも入らない私のために、思い悩んでいるだろう妻のいとしさよ。
- 鑑賞
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巻第十四 恋歌四 872
詞書「題しらず」
塵や泥ほどにも取るに足りない私のために、思い悩んでいるであろう妻がいとおしいと詠む歌である。自らを卑下しながら、遠く離れて自分を案じる妻をいたわしく思う心を詠んでいる。
万葉集巻十五に、越前に流された中臣宅守が、都に残る狭野弟上娘子を思って詠んだ歌として、ほぼ同じ形の歌が収められている。
初句「ちりひぢの」は、塵や泥の、の意で、取るに足りないもののたとえである。
二句「数にもあらぬ」は、数のうちにも入らない、の意である。本巻の第八百七十九首の「数ならぬ身」、第九百十八首の「数ならぬ身」と、我が身を数に入らないものとして卑下する点を共有している。
三句「我ゆゑに」は、私のために、の意である。
四句「思ひわぶらん」は、思い悩んでいるだろう、の意で、「らん」は現在推量の助動詞である。
結句「妹がかなしさ」は、妻のいとしさよ、の意で、名詞で結ぶ体言止めである。「かなし」はいとおしい、の意である。
ちりひぢ:塵泥。塵と泥。取るに足りないもののたとえ
おもひわぶ:思ひ侘ぶ。思い悩む。つらく思う
いも:妹。男性から妻や恋人を親しんで呼ぶ語
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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拾遺和歌集
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何せむに命をかけて誓ひけん いかばやと思ふ折もありけり
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恋ひ恋ひて後も逢はむと慰むる 心しなくは命あらめや