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若草に留めもあへぬ駒よりも
なつけわびぬる人の心か

歌の意味
若草でつなぎとめようとしてもとどめきれない若駒よりも、なつかせかねる人の心であることよ。
鑑賞
巻第十四 恋歌四 903

詞書は前の歌に続き「題しらず」
 若草を与えてもとどめきれない若駒よりも、なつかせることのできない人の心であると嘆く歌である。思うようにならない相手の心を、なつきにくい若駒にたとえている。

 初句「若草に」は、若草で、の意である。若草を食べさせて駒を引きとめようとする意を表している。
 二句「留めもあへぬ」は、とどめきれない、の意で、「あへぬ」は、しきれない、の意である。前歌の第九百二首の「留むとも」と、とどめることを詠む点を共有している。
 三句「駒よりも」は、馬よりも、の意である。次歌の第九百四首の「こま」、第九百十首、第九百十一首の「黒駒」と、駒を詠む歌が本巻に続いていく。
 四句「なつけわびぬる」は、なつかせかねている、の意で、「わぶ」は、しかねる意を表す。
 結句「人の心か」は、人の心であることよ、の意で、「か」は詠嘆を表す。前歌の第九百二首の結句「人の心は」と、「人の心」で結ぶ二首が並んでいる。

こま:駒。馬。若い馬
なつく:懐く。なつかせる。手なずける
作者
よみ人しらず
出典
拾遺和歌集
前の歌
吹く風に雲のはたては留むとも いかが頼まん人の心は
次の歌
逢ふことのかたかひしたる陸奥の こまほしくのみおもほゆるかな